イリーナ・クリコヴァ

23日、24日とうまく時間が作れて、以前から評判を聞いていたロシア出身の女流ギタリスト、イリーナ・クリコヴァのリサイタル&マスタークラスをゆっくりと聞く事が出来ました。

まずリサイタルを聞いて感心したのがふくよかで伸びのある美しい音色、そして華やかでイマジネーションあふれる表現。なめらかに流れるように紡がれる音楽世界は何とも個性的で、聞きしに勝るすばらしさでした。前半のバッハ、ソルなども聞きごたえがありましたが、後半の同国人による作曲らしい現代作品はどれも豊かな物語を感じさせるような名演で聴きほれました。

2日目のマスタークラスでは受講生の一番のウィークポイントと思われる個所を取り上げて、非常に丁寧に指導しようとする細やかさが印象的でした。特に強調していたのはスケールなどをレガートにつなぐために、先取りして左手指を次の音の真上に「準備」して行くこと。もちろんギターの左手の基本ではありますが、これをかなり意識的に行っていくことに、クリコヴァ独特の流れるようなレガートな演奏の秘密があるようです。他には難しいパッセージは10回連続で成功させることを目標に練習(本番に近いプレッシャーを自分に与えるため)することを6歳のころから行っていたなど、なかなか体育会的な一面も(笑)ただし曲全体を10回連続で通すのは音楽を殺してしまうのでダメ!だそうです。

今後の演奏やレッスンの参考になるような有意義な二日間でした!

《リサイタル・プログラム》

 アストゥリアス(I.アルベニス)

無伴奏チェロ組曲第1番(J.S.バッハ)

ファンタジー作品30(F.ソル)

3つの森の絵画、3つの小品(K.ワシリーエフ)

古いライムの樹(S.ラドネフ)

アルハンブラの想い出(F.タレガ)